制服選択制のアンケートを実施しました
制服選択制のアンケートを実施しました
一般社団法人にじーずでは、2021年11月7日(日)午後にオンラインイベント「制服選択制から考える誰もが過ごしやすい学校づくり 〜子ども若者の主体的な取り組みをサポートする」を開催しました。このイベントでは、埼玉県立川口北高校の辺田洋文先生と、元生徒会長をお招きして、実際の現場での取り組みについて伺い、36名の参加を得ました。
このイベントおよび、11月9日(火)に東京都教育委員会あてに制服選択制を求めるオンライン署名が提出されたことにあわせて、主に首都圏在住のにじーず参加者向けにアンケートを実施しました。アンケート結果や、よせられた手記は9日に署名提出にあわせて行われた会見でもスタッフの古堂達也から報告しました。
にじーずによる制服アンケート2021概要
・対象者:にじーずの参加者である10代から23歳までのLGBT(かもしれない人含む)
・目的:LGBTユースが制服についてどのような困難さを抱えているかを把握し、社会に向けて発信することで、状況の改善を目指すこと
・調査方法:にじーず参加者向けSNSグループにて協力依頼を行った。選択式+自由記述式 全8問
・回答者数:28名(うち都立学校在籍者6名)
アンケートの結果概要
回答者の在籍校の所在地は、東京都が13名、埼玉県が11名、神奈川県が1名。そのほか一都三県以外の回答が数名でした。在籍校の区分は、高校が21名、中学校が4名、公立中高一貫校が2名です。通信制高校の教員の方からも回答がありました。
回答者のうち、1名を除く27名は制服や標準服がある学校に通っていました。
27名の内訳は以下の通りでした
「誰でもスカートとスラックスを選択できる」:9名(うち2名は女子校)
「『女子』のみ選択できる」:8名
「原則選べない(法律上の性別に基づいて決められる)」:8名
制服を選択する際の理由については「理由をいう必要がない」と回答した人が14名でしたが、「性自認が理由であれば認められる」と回答した方も1名いました。
自由記述によせられた意見を踏まえると、次のことがわかりました。
・制服選択制を導入していても、「女子生徒のみがスカートとスラックスを選択できる(男子生徒はスカートを選択できない)」「式典時には法律上の性別による制服の着用が求められる」といった実態がある。
・誰でも制服を選択できる学校であっても、周知が不十分で、そのことが在籍するすべての児童生徒に伝わっていない場合がある。また、在学途中に制服を変更しようとしても、制服が高価なため買い替えることが難しいと感じる人もいる。
・生徒から制服選択制導入を求める声が挙がっていても、なかなか取り合ってもらえない、変わる気配が感じられないという声もある。
なお、今回のアンケート回答者のうち、都立学校に在籍しているのは6人でした。そのうち、制服が選べる・または私服登校と回答していたのは4人でしたが、そのうち3人は実態として女子しか選べない、式典のときには選べないとの声がよせられました。
また、だれでも自由に選べる学校でも、周知がされておらず、生徒が知らないとの回答がありました。
今回署名提出に先だって、東京都教育委員会から得た回答によれば都立学校196校のうち93校は制服選択制を導入しているとのことでしたが、実態としては女子しか選べない、式典の際には法律上の性別によって服装が割り当てられている、または周知が不十分である学校も相当数含まれている可能性が考えられます。選べないと回答した都立学校の生徒からは「生徒会で選挙の時などに話題になるが変わる気配がない」「生徒会に頼んでも先生からは後回しにされている」などの意見がありました。
さいごに
性別違和のあるユースにとっては、自認とは異なる性別の制服を着ることは、自身の法律上の性別を毎日のように意識させられ、長期にわたって自己の尊厳を傷つけられることになりえます。場合によっては、通学することが難しくなったり、死にたい気持ちを抱えてしまうほど苦しくなってしまうこともあります。服装の選択ができる学校が少ない現状では、進路が狭められてしまう現状もあります。この現状は、すべての人がその個性を伸ばし可能性を発揮できるよう導く教育の理念とは逆行しています。
学校での制服選択制が全面的に実施されるよう、また、それが利用したいユースにとって利用しやすいものとなるよう、一刻も早い対応を求めます。
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