【スタッフインタビュー】No.2 にじーず関西・まゆさん

【スタッフインタビュー】No.2 にじーず関西・まゆさん

「にじーずって、どんな人がスタッフをしているの?」
「にじーずスタッフがどんな活動をしているか知りたい!」

そんな声にお応えして、現役のにじーずスタッフがインタビューに答えます!
この活動を始めたきっかけや、スタッフとして活動する中で印象に残っているエピソード、スタッフに関心がある人に向けたメッセージなど、たっぷりお届けします!
第二弾は、にじーず関西スタッフのまゆさんです。
(聞き手:にじーずスタッフ おだ)


関西スタッフ、まゆさんの写真。ブロックでできたレインボーのシマウマの横で、同じ柄のシマウマのぬいぐるみを頭にのせて笑顔を見せている。

関西スタッフ・まゆさん

障害者支援や福祉系の仕事をしながら、関西でにじーずの活動

――自己紹介をお願いします。

まゆです。2023年夏から、にじーず関西で活動しています。普段は、障害者支援や福祉系の仕事をしています。具体的には、重度知的障害のある方の支援や介助(食事、入浴、排泄)をしています。大学では、福祉系の勉強をしていました。趣味はソフトテニスと温泉巡りです!

――大学生の時から福祉系の仕事を志していたのですね。まゆさんのお仕事について、障害者支援とは、どのような仕事ですか。

私が勤務している施設は、重度の知的障害のある方や自閉症の方が利用されています。言葉でコミュニケーションをとることがなかなか難しい方が多く、カードを用いる等、それぞれ個別の方法でやり取りを行っています。他には、一緒に軽作業を行ったり、お散歩をしたり、お買い物に出かけたりと様々な支援をしています。

――差し支えなければ、まゆさんのジェンダーやセクシュアリティについて教えてください

おそらく私はシスジェンダーで、生まれた体の性別と自認する性別が一致していると思っています。それで、異性の人を好きになるので、ヘテロセクシュアルだろうとも思っています。実は、今年結婚をしました!
社会の中では私はマジョリティに分類されると思うのですが、にじーずの中では、私はマイノリティなのだろうと思っています。

「当事者」、「専門家」、「素人」いろんなスタッフがいることでいい活動になる

――まゆさんがにじーずのスタッフになった経緯を教えてください。

大学生のときに、ボランティアで子どもや若者の居場所をつくる活動をしていました。ある日、にじーず京都の会場でもある京都市南青少年活動センターで「子ども若者支援に関わる支援者」に向けたセミナーが行われました。ゲストスピーカーに、にじーず関西でスタッフをしているれんさんが来てくれて、にじーずの活動を知りました。
以前子どもの居場所づくりに関わっていたときに、その場ではユースが自分のセクシュアリティに関する出来事や悩みをオープンに話してくれていて、周りもそのことを当たり前に受け入れているようにみえました。あとからセミナーでれんさんの話を聞いて、セクシュアリティについて悩むユースがありのままに話せる場ってきっとまだまだ少ないのだろうという課題意識がより強く芽生えました。 後日、セミナー会場の方から、にじーず関西でスタッフの募集をしていると聞いて応募しました。

――まゆさんは、どうして子どもや若者を支援する活動を大学生の頃から積極的に取り組んでいたのですか?

大学生のときに「社会福祉士」という資格を取得しました。その資格を取るにあたって様々な実習があるのですが、その実習中様々な人と関わるなかで、ソーシャルワーカーとして活躍するには「多様な視点」を持っていることが必要なんだと気が付きました。福祉というと「高齢」「障害」「児童」といった棲み分けがされがちですが、その言葉だけにはとどまらない、セクシュアリティのことはもちろん、貧困の問題、司法福祉における課題等、絶えず様々な社会課題について目を向け続ける必要があると思っています。その気づきをきっかけに、様々な場に出向くようになりました。その中の一つに子どもや若者の居場所づくりに関わるようになりました。以前そういった居場所で活動していたときに、自分のセクシュアリティを周りにオープンにしたら、嫌な噂をたてられた等のLGBTかもしれない子どもたちの悩みも聞いたことがあります。

――ソーシャルワーカーとしての経験を積んでいたまゆさんですが、もともとLGBTに関する支援をしていたのではないのですね。にじーずのスタッフになるのに、何か不安とかありましたか。

チャンスがあれば、チャレンジしていこうという性格なんです。でも、いざにじーずのスタッフとしてオープンデーに入ったときに、スタッフも当事者が多く、知識や専門用語もたくさん知っている人が多い中で、力になれていないのではないかと思った時もあります。でも、関西拠点での個別相談はスタッフ2人体制で行っているので、もう一人のスタッフの話を聞いてなるほどと勉強になりますし、回数を重ねていくと、回答の仕方等も知識が増えて、それに他のスタッフにも聞きやすくなったので、不安が解消されました。
そして、定期的に行われるにじーずの研修も勉強になっています。知らないうちに人を傷つけるかもしれないリスクがあると知って、ハッとすることもあります。対応できるのかなって不安な気持ちがあったのですが、今は「大丈夫やな!」って思っています。

――フットワークも軽く活動的なまゆさんも初めは不安だったんですね。でも研修やスタッフとの関係性で徐々に不安がなくなっていったと聞いて安心しました。

にじーずってすごいと思ったのが、研修の内容もそうですが、グループワークもあって、スタッフみんなが前向きでやる気があることです。学ぼうという気持ちがみんなにあるのが、私にとっては居心地がいいです。にじーずではみんなで力にしていこうという気持ちがある。セーフガーディングの研修での事例検討も積極的でいいなと思いました。
各拠点での振り返りも、みんなの意見を出して、いつもいるメンバーでは煮詰まっていしまうことも、メンター(※)の存在があり心強いですし、スタッフの相談窓口もあるのは安心です。
にじーずをよりよくしようと思う人が、全国にいる。そういうのがいいなと思っていいます。ひとりで抱えなくていいので安心できます。

――確かに拠点を越えて、全国のにじーずスタッフの力を借りることができるので安心ですよね。まゆさんの抱えていた「LGBTの当事者ではない」という不安、例えば経験に基づいた話ができないという不安は、どのように解消しましたか。

にじーずってLGBTかもしれないと思うユースの居場所ですが、広く言うと人間は皆それぞれ違いがあるなかで、それをみんな認め合おうという場所で、そういう意味で居心地がいいと思います。LGBT当事者でない私も受け入れてもらっているという感覚があって、疎外感がなく、チームである感覚があります。
大学生のとき、実習担当のソーシャルワーカーの方が「当事者」「素人」「専門家」が協働することの重要性を教えてくださいました。これは石川到覚さんという方の言葉だそうです。
にじーずだと、専門性のある人がいて、当事者の人もいて、私みたいな素人もいる。それがきっといい活動になると思っています。それに仲良くしてくれる仲間もいて居心地がよいのだと思っています。何が得意なのか、それぞれバラバラだと思うし、そのままでいいんだと思えるのがいいですね。

――にじーずが、まゆさんにとってもそのままでいいんだと思える場所なんですね。

机の上に、折り紙や、赤い鳥のぬいぐるみ、「ちょっと話せる?」と書かれたカードが数枚置かれている。

にじーず神戸の様子

大学での学び、仕事での経験、自分の好きなこと……様々な経験がつながり活かされる

――まゆさんにとっての、にじーずのスタッフのやりがいを教えてください。

あるオープンデーで、テーマトークが恋バナだったのですが、みんな話し出せない時間が続いてしまって……。そのときに、あるスタッフが、パートナーとのデートがうまくいったことの話をしてくれました。そういうスタッフの話が、ユースにとってのポジティブなモデルになってて、ユースの目が輝く光景を見ることができて、私も嬉しかったです。
私は、障害者施設で働いていて、お出かけしたいときに支援者の都合で出かけられないとか、毎日お風呂に入りたくても叶わなかったりとか、車椅子だと行けるところが限られているとか、社会に対する理不尽さのようなものを感じることがしばしばあります。
大学で学んだことですが、できないことがあるのはその人の能力云々ではなくて、社会側に問題があると訴えかけていくアプローチがあります。つまり個々の問題なのではなく、システムや環境に問題があるのではという視点です。例えば、障害のある人でも、自分の気持ちを伝えるのに、声を使うことは難しくても、カードや紙に表すことで伝えることができる場合があります。でも社会では声を使えないという障害のほうに目を向けがちです。LGBTのことに関しても社会がそういう人を想定していないことが問題なのではないかと考えています。
こうして、大学で学んだこと、障害者施設の仕事、にじーずで気が付いたこととをつなげて思い出しながら、考えを深められるのは、スタッフのやりがいだと思います。

――スタッフしていて印象的な出来事はありますか?

ユースから、化粧したいけど、何を買ったらいいかわからないという悩みを聞きました。そのときは、私とスタッフとユースたちとでみんな輪になって、私はコスメオタクの面があるので、こういうの使っているよとか、ドラッグストアのコスメの話をしたのが楽しかったです。他にも、自分が発達障害かもしれないと悩むユースもいました。
にじーずではLGBTの相談ばかりだと思っていたのですが、それだけじゃなくて、いろんな悩みがあります。そのなかで、私も一緒に楽しくお話できることもあって、にじーずの場にいてよかったと思いました。

――ユースの悩みは、セクシュアリティのことだけじゃないですよね。まゆさんの経験が活かせたエピソードですね。まゆさんがユースとのかかわりで大事にしていることがあったら教えてください。

にじーずに入った当初は、支援者的視点が強かったです。でも支援をする/されるという関係ではなくて、「場の力」が大切なのだと思うようになりました。すべてに介入しようとするのではなくて、ユース同士の支え合いを見守ったり、思ったことをなんでも伝えすぎずにユース達の気持ちに委ねてみたり。 あとは人につなぐ、情報を渡すなど、にじーずの範囲でできることを把握するのが大事だと思うようになりました。
はじめましての人がきたときに、何話そうかなと矢継ぎ早に質問せず、誰でも入れるコミュニケーションを意識するようになりました。ジェンダーとか個人的な情報を出さなくてもいい話からはじめるとか。それに、コミュニケーションって言葉を交わすことだけじゃなくて、一緒に本を読むとか、ぬいぐるみを撫でるのでもいいのかなって。初めは話しづらいこともあると思うけど、なんとなく輪にいるだけでも、居心地がいいと思ってもらえるようにしたいです。

――最後に、どんな人ににじーずのスタッフになってほしいか、未来のスタッフにメッセージをお願いします。

LGBTかもしれないユースの居場所は、スタッフも含めて、いろんな違いがある人間がいて、それを尊重し合うことができる場所だと思います。私のように最初はジェンダーやセクシュアリティについて詳しくなくても参加できて、関心を持っていろんな人と話すことで勉強になると思います。そして参加する自分たちにとっても、居心地がよいと思う場所になると思います。
ぜひ一緒に仲間になって、よい社会を作っていきましょう。待ってます。

――まゆさん、素敵なコメントをありがとうございます。

※にじーずではスタッフが利用できるメンター制度を導入しています。拠点には所属していない独立したスタッフがメンターを務め、スタッフからの相談に対応しています。


にじーずでは、現在オープンデーのスタッフを募集しています!

関心のある方は、こちらから詳細をご確認のうえ、ご応募ください。

https://24zzz-lgbt.com/blog/recuruit2024/

みなさんのご応募、お待ちしています!

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