【スタッフインタビュー】No.1 にじーず岡山・なかもっさん
「にじーずって、どんな人がスタッフをしているの?」
「にじーずスタッフがどんな活動をしているか知りたい!」
そんな声にお応えして、現役のにじーずスタッフがインタビューに答えます!
この活動を始めたきっかけや、スタッフとして活動する中で印象に残っているエピソード、スタッフに関心がある人に向けたメッセージなど、たっぷりお届けします!
第一弾は、にじーず岡山リーダーのなかもっさんです。
(聞き手:にじーずスタッフ ぷーだ)
関東で子ども若者支援をしながら岡山でも活動
――自己紹介をお願いします。
にじーず岡山で活動している、なかもっさんといいます。にじーず岡山の拠点リーダーとして、拠点の立ち上げ時から運営に関わっています。岡山拠点の運営以外にも、昨年度は「バーチャルにじーず」の立ち上げをお手伝いしたり、今年はファンドレイズチームの一員としても活動しています。にじーず以外のお仕事としては、都内のNPO法人で子ども若者支援を行っています。趣味はボードゲームと謎解きです。
――にじーずスタッフが本業でどんな仕事をしているか気になる人も多いと思うので、お仕事についてもう少し詳しく教えてもらえますか?
都内で子どもの居場所づくりをやっています。そこでは、小学生から高校生ぐらいまでの子どもたちが無料で滞在できて、WiFiや電源もあって、食事も食べられます。あと、学習支援もやっていて、食事を食べた後に勉強することもできます。
――いろんな過ごし方ができて、居心地よさそうですね!
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――差し支えない範囲でいいのですが、なかもっさんのジェンダーやセクシュアリティの在り方について伺ってもいいですか?
ジェンダーについては、ちょっとまだ自分でも悩んでるところがあって。一応、人称代名詞についてはshe/herを使ってもらうことが多いです。でも、女性扱いされたりとか「ちゃん」って呼ばれると、ちょっと違和感もあって。「なかもっさん」って名前で呼ばれるのが一番しっくりきますね。「Xジェンダー」とか「ノンバイナリー」かっていうと、そこはまだ探り中っていう感じです。
セクシュアリティとしては、「オムニセクシュアル」だと考えています。性別を問わずに人のことを好きになる。これまでもいろんな人のことを好きになって、シス男性のこともシス女性のこともトランスの人のことも好きになったことがあって。「パンセクシャル」っていうと、好きになる相手のジェンダーを意識しないっていわれていると思うんですけど。でも、わたしとしては、その人がこのジェンダーであるっていうことは結構大事なことだと思っていて。「オムニセクシュアル」っていう言葉があるのを他のにじーずスタッフから聞いて、自分もそうかもと思いました。
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きっかけは教え子からのカミングアウト
――にじーず岡山は2021年に活動をスタートしていると思うんですが、にじーずを岡山でも開催することになった経緯について教えてください。
なぜわたしが岡山でにじーずをやりたいと思ったかっていうと、高校で教員をしていたときに、生徒の一人がカミングアウトしてくれたことが、ひとつの大きなきっかけだったんです。
その子が「わたしって実はこうなんですよね」みたいな感じでポロッと言ってくれたんですけど、なんかちょっと後ろめたいような言い方だったんですよね。その様子が、すごくわたしは悲しくて。岡山に生きてる中高生のユースの息苦しさというか、つながりのなさっていうのをすごく実感したんです。わたしは、大学時代にセクマイコミュニティとのつながりがあったおかげで自分のことを前向きに受け入れられたんですけど、この子は、そういう友達が周りにいないのかなって思って。それで、当事者の子たちが集まれる場所があったほうがいいんじゃないかと思って、にじーず代表のまめたさんに連絡を取りました。
――生徒からのカミングアウトが、岡山でにじーずを始めようと思った大きなきっかけだったんですね。その生徒さんは、なぜなかもっさんにカミングアウトしてくれたんでしょうか?
当時、わたし自身は生徒たちにカミングアウトはしていなかったんです。でも、LGBTフレンドリーな先生ですっていうことはすごく積極的に発信していて、職員証にレインボーのステッカーとかバッヂをつけたりとか、机の上に「ここはセーフスペースだよ」っていうレインボーの掲示を置いてみたりとか。あと、特別活動の枠で、ジェンダーとセクシュアリティの講座を持ってたんですよ。多分そういうのもあって、自分に話してくれたんだろうなと思います。
ユースの前向きな変化にスタッフが勇気づけられる
――2021年8月に、第一回目のにじーず岡山オープンデーを開催しました。振り返ってみて、いかがでしたか?
初回の参加者は、5〜6名だったと思いますね。
いつものオープンデーは会議室でやってるんですけど、その時は会議室が取れなくて。代わりにヨガ教室みたいなところを借りてやったんですよ。なんかこう、チャクラを整える系のお椀みたいなやつ、あるじゃないですか。チーンって鳴らすやつ。あれを鳴らしながら、みんなでヨガマットの上に座って話すみたいな感じで、すごいシュールだったんですけど(笑)。
でも、わたし、今でも毎回オープンデーに参加するたびにすごく実感するんです。多様性を前提にした空間って、こんなに居心地いいんだなって。みんな、お互いに違うよねって前提で話をしてくれるから、信頼関係が生まれやすくて、みんなけっこう自己開示してくれる。それだけでホント元気になれるっていうのを、あの子たちを見ててすごく実感したし、わたし自身もスタッフとしてその場にいるだけでめっちゃ元気になっちゃうっていう。なんで、初回からもう、やってよかったなって思いました。
それで、2024年で4年目になって、卒業する子とかも出てきて。そういう子たちの変化を見てると、毎月一回、3~4時間のこの居場所が、どれだけこの子どもたちの羽休めになって、栄養補給になってるのかっていうことを実感しています。だから、居場所を続けていくことは、すごく大事だなと思いますね。
――これまでで印象に残っているエピソードはありますか?
そうですね。やっぱり、ユースがにじーずに来て、いろいろな性自認・性表現の人たちと出会うことで、それまで敬遠していたメイクとかオシャレみたいな自己表現をできるようになるのをみると、うれしくなりますね。アイラインを引いてみたり、スカートをはいてみたり、ウィッグをつけてみたり…そういうの、すごく素敵だなと思って。たぶん、最初はすごく難しいと思うんですよ。そういう自分を受け入れるのって、葛藤があるじゃないですか。でも、にじーずに来て、同じような同年代の人たちに出会えたことで、自分のことを受け入れられて、前向きにアクションを取れるようになったっていうのは、にじーずの場が持つ力なのかなと思いますね。
――継続して参加してくれる中でポジティブな変化が見られると、うれしいですよね。
そうですね。あとは、最近卒業した子で、遠方から毎月ものすごいお金かけて来てくれてた子がいたんです。いろんなしんどい時期もいっぱいあったんですけど、にじーずという場で友達やスタッフに出会って受け入れられることで、本当に力を蓄えられて。最後に「にじーずがあったおかげでわたしは自分になれました。生きてこられました。ありがとうございます」ってお手紙を書いて渡してくれて。もう、その時はマジでボロ泣きしました(笑)。
やっぱり、初めて会った時と比べて2回目、3回目と、どんどん前向きな変化……っていうのは、表情が明るくなっていくとか、自分に自信が持てているとか、自分らしい表現ができるようになっているっていうのを見ると、本当に勇気づけられるし、やっててよかったって思います。
――いまの話に登場したユースもそうですが、岡山の拠点は遠方から来るユースも多い印象があります。
そうですね。遠方から来るユースは、隣県だったりとか、本当に遠いと島根とか鳥取とか愛媛あたりから来てくれる子もいます。岡山って中四国のなかでアクセスの要所になっているので、公共交通機関で来やすいっていう特徴があると思うんです。そういう意味で、岡山という地から他の地域へ広く前向きにインパクトを残せるのはすごくいいなと思っています。
岡山のユースのために何かしたい
――以前、岡山スタッフとしてどんな人に来てほしいかという話をした時に、地域への貢献とか還元っていうことを一緒に考えてくれる人がいいって話していましたよね。
わたしとしては、やっぱり自分自身が岡山生まれ岡山育ちで、岡山の子どもに出会ってこの活動を始めたっていうのがあるので、岡山の子どものためになにかしたいという想いが一番大きいんです。いま東京に住んでて思いますけど、やっぱり地域性というか、抱えている格差とか難しさって、もっともっといっぱいあると思ってて。そういう意味では、どこでもいいわけじゃなくて、「逆境」と言ったら変な言い方ですけど、難しいところでこそ頑張りたい、そういうところで子どもに居場所を届けたいと思ってる方にぜひ来ていただけたらなと思います。
――スタッフに関心をもってくれている人に向けて、メッセージをお願いします。
にじーずの活動って、1年、2年……と長くかければかけるほど面白い活動だと思っていて。関われる子どもの数も増えますし、変化していく子どもの姿も追ってずっと見ていられるので、ぜひ長く熱く、にじーずに来てくれる子どもたちと向き合ってくれる方に、一緒に活動してもらえたらなと思ってます。活動やったことないとか、今までコミュニティに参加したことないですっていう人も全然問題ないので。ユースのために何かしたいっていう気持ち、それさえあれば大丈夫です。
――ありがとうございました!
※ユースのエピソードは個人が特定されないよう一部変更しています。
にじーずでは、現在オープンデーのスタッフを募集しています!
関心のある方は、こちらから詳細をご確認のうえ、ご応募ください。
https://24zzz-lgbt.com/blog/recuruit2024/
みなさんのご応募、お待ちしています!